カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」+「小名浜竜宮」

Main visual

名称:カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」+「小名浜竜宮」
会場:萬宝屋(福島県小名浜市)
会期:2016年9月17日〜10月10日
参加作家:秋山佑太、荒木佑介、井田大介、一輪社、井戸博章、今井新、梅沢和木、梅田裕、岸井大輔、ク渦群、後藤拓朗、サエボーグ、酒井貴史、竹下昇平、竹下晋平、X会とパープルーム、中島晴矢、藤城嘘、パルコキノシタ、村井祐希、吉田重信、柳本悠花、山内祥太、KOURYOU、弓塲勇作
キュレーター:黒瀬陽平(美術家、美術評論家)
撮影:中川周

 

市街劇「地獄の門」

『カオス*ラウンジ新芸術祭2015 市街劇「怒りの日」』は、 1970年代に寺山修司が考案した「市街劇」をオマージュし、福島県いわき市平(たいら)地区の複数会場をツアー形式で巡回させる、新しい形の芸術祭として好評を博しました。『カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」』は、「カオス*ラウンジ新芸術祭」の第2回目として、市街劇「怒りの日」の続編として、市街劇形式を踏襲しながらも、新しいテーマと新しいアーティストたちを加えて開催します。
市街劇「怒りの日」では、平安時代の名僧「徳一」、浄土宗の袋中上人、いわきに残る不思議な「浦島伝説」や「死人田」といった「近代以前のいわき」へと遡り、「ありえたかもしれない福島」「ありえたかもしれない歴史」を描くことで、想像力による「現実からの脱出」を試みました。
今回の市街劇「地獄の門」では、近代以前の歴史、物語から、近現代へと視線を向けます。たとえば、KOURYOUとサイト制作チームは、「怒りの日」でカオス*ラウンジが扱ったいわきの伝説を徹底的にリサーチし、ウェブ上に広大な「伝説マップ」を作り上げました。そして、いわきの郷土史家・夏井芳徳の短編小説「キツネ裁判」を「二次創作」し、現代の物語へと変形してゆきます。また、現代美術家集団であるパープルームは、大正時代に平地区で活動し、洋画家の若松光一郎や詩人の草野心平らを輩出した前衛美術集団「X会」を自らに「憑依」させ、X会とパープルームと名づけられたインスタレーションを展開します。岸井大輔は、いわきに残る「龍燈伝説」を震災後の物語として読み替える「戯曲」を制作。市街劇をいわきの海岸線全域へと拡張します。さらに、今回はいわき出身、在住の現代美術家・吉田重信も参加しています。
近代以前から現代へと歴史をたどりながら、「ありえたかもしれない神話」を、「ありえたかもしれない前衛」を描くうちに、私たちは「現実からの脱出」のみならず、私たちが目にしている現実や歴史そのものへの介入にとりかかるのです。

 

市街劇「小名浜竜宮」

『カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」』との同時開催展として、小名浜地区の複数会場を使った市街劇「小名浜竜宮」を開催します。平地区で開催される「地獄の門」と同様に、複数会場をツアー形式で巡回させる市街劇形式の展覧会で、いわきに伝わる独特の「浦島伝説」をもとに、総勢16組ものアーティストが新作を発表します。
いわきには奇妙な「浦島伝説」が残っている。浦島と乙姫が結婚し、ふたりは子どもを授かるが、乙姫は難産に苦しむ。そこで、いわき市平の西部にある閼伽井嶽薬師の力を借り、無事出産することができた。それからというもの、毎年、乙姫が火の玉となって夏井川を遡り、閼伽井嶽薬師までお礼参りに来る、というものだ。これをいわきでは「龍燈伝説」と呼ぶ。
小名浜地区を流れる藤原川水系、さらにその西にある鮫川にも、火の玉が川を遡る龍燈伝説が無数に残っている。そして小名浜の海岸線一帯の目立った岬には、高い確率で「八大龍王」を祀った碑がある。龍宮岬、と名づけられたところまである。龍神や蛇神は水にまつわる神なので、昔から津波や高波の被害に悩まされてきた小名浜に祀られているのは当然のことだろう。小名浜は、今も昔も漁師町であり、毎年遠くの海から男たちがやってくる。そして、東北一と名高い歓楽街には「姫」たちが待っている。
荒ぶる龍神や蛇神によって押しよせる波の犠牲となった死者の記憶と、海を渡ってやってくる男たちと「姫」たち、そしてその子どもたちの記憶。いわきに残る「龍燈伝説」は、それらの記憶が重なりあった物語なのではないか。
市街劇「小名浜竜宮」は、小名浜地区の複数会場といくつかの「チェックポイント」をツアー形式で巡回しながら、震災後の「龍燈伝説」を語る。

名称:カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」+「小名浜竜宮」
会場:萬宝屋(福島県小名浜市)
会期:2016年9月17日〜10月10日
参加作家:秋山佑太、荒木佑介、井田大介、一輪社、井戸博章、今井新、梅沢和木、梅田裕、岸井大輔、ク渦群、後藤拓朗、サエボーグ、酒井貴史、竹下昇平、竹下晋平、X会とパープルーム、中島晴矢、藤城嘘、パルコキノシタ、村井祐希、吉田重信、柳本悠花、山内祥太、KOURYOU、弓塲勇作
キュレーター:黒瀬陽平(美術家、美術評論家)
撮影:中川周

 

市街劇「地獄の門」

『カオス*ラウンジ新芸術祭2015 市街劇「怒りの日」』は、 1970年代に寺山修司が考案した「市街劇」をオマージュし、福島県いわき市平(たいら)地区の複数会場をツアー形式で巡回させる、新しい形の芸術祭として好評を博しました。『カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」』は、「カオス*ラウンジ新芸術祭」の第2回目として、市街劇「怒りの日」の続編として、市街劇形式を踏襲しながらも、新しいテーマと新しいアーティストたちを加えて開催します。
市街劇「怒りの日」では、平安時代の名僧「徳一」、浄土宗の袋中上人、いわきに残る不思議な「浦島伝説」や「死人田」といった「近代以前のいわき」へと遡り、「ありえたかもしれない福島」「ありえたかもしれない歴史」を描くことで、想像力による「現実からの脱出」を試みました。
今回の市街劇「地獄の門」では、近代以前の歴史、物語から、近現代へと視線を向けます。たとえば、KOURYOUとサイト制作チームは、「怒りの日」でカオス*ラウンジが扱ったいわきの伝説を徹底的にリサーチし、ウェブ上に広大な「伝説マップ」を作り上げました。そして、いわきの郷土史家・夏井芳徳の短編小説「キツネ裁判」を「二次創作」し、現代の物語へと変形してゆきます。また、現代美術家集団であるパープルームは、大正時代に平地区で活動し、洋画家の若松光一郎や詩人の草野心平らを輩出した前衛美術集団「X会」を自らに「憑依」させ、X会とパープルームと名づけられたインスタレーションを展開します。岸井大輔は、いわきに残る「龍燈伝説」を震災後の物語として読み替える「戯曲」を制作。市街劇をいわきの海岸線全域へと拡張します。さらに、今回はいわき出身、在住の現代美術家・吉田重信も参加しています。
近代以前から現代へと歴史をたどりながら、「ありえたかもしれない神話」を、「ありえたかもしれない前衛」を描くうちに、私たちは「現実からの脱出」のみならず、私たちが目にしている現実や歴史そのものへの介入にとりかかるのです。

 

市街劇「小名浜竜宮」

『カオス*ラウンジ新芸術祭2016 市街劇「地獄の門」』との同時開催展として、小名浜地区の複数会場を使った市街劇「小名浜竜宮」を開催します。平地区で開催される「地獄の門」と同様に、複数会場をツアー形式で巡回させる市街劇形式の展覧会で、いわきに伝わる独特の「浦島伝説」をもとに、総勢16組ものアーティストが新作を発表します。
いわきには奇妙な「浦島伝説」が残っている。浦島と乙姫が結婚し、ふたりは子どもを授かるが、乙姫は難産に苦しむ。そこで、いわき市平の西部にある閼伽井嶽薬師の力を借り、無事出産することができた。それからというもの、毎年、乙姫が火の玉となって夏井川を遡り、閼伽井嶽薬師までお礼参りに来る、というものだ。これをいわきでは「龍燈伝説」と呼ぶ。
小名浜地区を流れる藤原川水系、さらにその西にある鮫川にも、火の玉が川を遡る龍燈伝説が無数に残っている。そして小名浜の海岸線一帯の目立った岬には、高い確率で「八大龍王」を祀った碑がある。龍宮岬、と名づけられたところまである。龍神や蛇神は水にまつわる神なので、昔から津波や高波の被害に悩まされてきた小名浜に祀られているのは当然のことだろう。小名浜は、今も昔も漁師町であり、毎年遠くの海から男たちがやってくる。そして、東北一と名高い歓楽街には「姫」たちが待っている。
荒ぶる龍神や蛇神によって押しよせる波の犠牲となった死者の記憶と、海を渡ってやってくる男たちと「姫」たち、そしてその子どもたちの記憶。いわきに残る「龍燈伝説」は、それらの記憶が重なりあった物語なのではないか。
市街劇「小名浜竜宮」は、小名浜地区の複数会場といくつかの「チェックポイント」をツアー形式で巡回しながら、震災後の「龍燈伝説」を語る。