ガチンコ―ニュータウン・プロレス・ヒップホップー

ガチンコ

マスクド・ニュータウン

マスクド・ニュータウン
中島晴矢
ポリエステル、ビニール、フェルト、ワッフル、メッシュ
制作 : 毒kinokopink
2014

この作品はメキシコのプロレスであるルチャ・リブレのマスクをモティーフとしている。
メキシコでは、アステカやマヤといった古代文明の中にある神々たちへの仮面信仰がマスクに結びついた歴史的背景ゆえ、「新しい世界に踏み入れたり、邪気を追い払ったり」「自分の能力以上の何かを求め」るために、マスクを被るのだ。(清水勉「メキシコ・マットにおけるマスクマン」)
そういった「仮面」に、自身の「地元」の図案を縫い込んだ。
まず顔前面の赤いU字型のパーツは、1898年にエベネザー・ハワードが『明日の田園都市』において提唱した「田園都市構想」を図示した「三つの磁石」を表している。
ハワードの構想した「Garden City(田園都市)」は、その後日本をはじめ世界各地のニュータウン政策・郊外型の都市計画に大きな影響を与えた。「磁石」のひとつは「農村」、ひとつは「都市」を表し、両者の利点を融合した第三の選択としての「田園都市」が浮かび上がる。
眼の周囲、二つの円からなるベン図は、若林幹夫が『郊外の社会学』において「郊外」を図式化したものだ。
「都市」でも「農村」でも「地方」でもない、「郊外という場所の両義性」に注目した若林は、山口昌男の「中心/周縁」図式と類似的な「周縁性」を郊外に見いだす。このように郊外とは曖昧で両義的な「立場なき場所」なのだ。
さらに額に刻印された「NT」のマークは、言うまでもなくニューヨーク・ヤンキースのマークであり最早ストリートアイコンである「NY」を、「New Town」化したものである。